京都国立博物館 メールマガジン 第7号[KNM:0007]      

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[ご挨拶]
好評開催中の特別展覧会「狩野永徳」も、いよいよ18日(日)までと
なりました。会期の終わり近くになると入館者数が急増しますので、ぜ
ひ早い時期に御来館ください。号外号でも紹介しましたが、本展覧会中
の金・土・日曜日は、夜間開館を実施していますが、この時間帯(午後
8時まで開館)には入館者が比較的少なくなります。これも御利用いた
だければ幸いです。なお、ポスターに使用しています「唐獅子図屏風」
や代表作の「檜図屏風」は、最後の第10室に展示しております。また、
11月9日までの毎木・金曜日に、平常展示館1階で、考古・陶磁・彫刻
の展示作品をわかりやすく説明するボランティア解説を、午後1時、午
後2時半、4時からの3回行いますので、ぜひ御利用下さい。
(Y.N)

[特別展覧会:開催中] 狩野永徳
10月16日(火)縲・1月18日(日)
特別展示館

信長、秀吉といった時の権力者に重用され、豪壮華麗な絵画様式を確
立した天才絵師・狩野永徳。
 この展覧会では、桃山画壇の頂点に君臨しながらも、描いた作品のほ
とんどが灰燼に帰したといわれる狩野永徳の画業の全貌に迫ります。
 永徳の代表作はもちろん、伝永徳ならびに父松栄や弟宗秀、長男光信
ら永徳と同時代に活躍した狩野派絵師の作品や、海外からの里帰り品、
初公開・新発見の作品をあわせた約70件が一堂に会します。
 永徳芸術の真髄に触れる史上初の大回顧展、ぜひご高覧ください。

主な展示作品
・国宝 花鳥図襖 狩野永徳筆 聚光院蔵
・重要文化財 仙人高士図屏風 狩野永徳筆 京都国立博物館蔵
・織田信長像 狩野永徳筆 大徳寺蔵
・洛外名所遊楽図屏風 狩野永徳筆
・国宝 檜図屏風 東京国立博物館
・国宝 洛中洛外図屏風 米沢市上杉博物館
・重要文化財 群仙図襖 南禅寺

出品目録・展示替一覧は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/071016/mokuroku/index.html
展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/070710/tokubetsu.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/ctokuten-ei.html

公式ホームページは→
http://eitoku.exh.jp/
公式ホームページ携帯版は→http://eitoku.exh.jp/k/

[特集陳列:開催中] 能楽と美術
10月11日(木)縲・1月11日(日)
平常展示館14・17室

 能楽が日本を代表する伝統的な舞台芸能として、現代にも脈々と生き
続けていることは、言を俟たないでしょう。しかしながら、能楽は常に
隆盛を誇ってきたわけではありません。室町時代に大成された能楽は、
寺社の法楽として育まれ、足利将軍家の引き立てによって貴顕に賞玩さ
れるようになりました。そして江戸時代には、武家の式楽として儀式に
欠かせない芸能へと発展したのです。しかし、このような順調な歩みも、
明治維新による幕藩体制の崩壊をうけて大打撃を蒙ります。式楽として
の演能が不要になり、大名家が抱えていた能楽師や演能の諸道具が、行
き場を失ってしまったのです。
そのような苦難の時期に能楽界を支えたのが、さまざまな階層に広が
っていた能楽愛好者でした。このたび一括して登録美術品となった能楽
コレクションの設立者も、そのひとりです。大正から昭和にかけて実業
界で活躍するかたわら、自らも能を舞い、大名家などから放出された能
面・能装束などを核に、コレクションを形成していきました。
特集陳列「能楽と美術」では、これまで全貌が知られていなかったこ
の能楽コレクションを初公開します。大名家伝来の能面・能装束などと
ともに、近代に製作された能装束をも含んだ作品群は、江戸時代から現
代への橋渡しとなった時代の、能楽をめぐる美術の諸相を伝えてくれる
ことでしょう。

主な展示作品
能装束
紅地立涌に楓蝶文様唐織
画像は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/img/nougaku/n1.jpg

紅地青海波藤文様縫箔
黄地絣水衣
萌葱地唐花七宝文様袷法被
浅葱・萌葱・鉄色段熨斗目
赤地青海波に四季花熨斗文様唐織
紫地鳳凰文様金襴長絹
能面
小尉
小面

猩々
謡本
光悦謡本 百冊 橘紋散蒔絵箪笥入
謡本〈無章句未装本〉
楽器
唐松蒔絵小鼓胴 網干蒔絵鼓箱入。楓蒔絵太鼓胴

展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/nougaku/nougaku.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/ctokutin-nougaku.html



[特集陳列:予告] 館蔵品のはじまり -京都博物館からの贈りもの-
11月21日(水)縲・2月24日(月・祝)
平常展示館13室

 現在、京都国立博物館に収蔵される12500件にのぼる作品は、館蔵品
と寄託品という大きな二つの柱からなっています。当然のことながら、
どちらも一朝一夕ではなく、長い年月をかけ、次第に充実させてきたも
のです。
ここで、館蔵品の蒐集に目を向けると、その歴史は明治24年(1891)
正月、1076点におよぶ作品が京都府より寄贈されたことにはじまります。
これらは、明治八年に京都府勧業課に設置され、わずか九年で廃止され
た「京都博物館」の旧蔵品です。同館は当初、御所のなかに建設される
予定でしたが、ついに実際の建築には至らなかった、いわば幻の博物館
です。つまり、館蔵品蒐集の記念すべき第一歩は、いまから百年以上も
前、幻の博物館からの寄贈品にはじまったのです。
残念ながら、これらの作品は普段、展示室でお目にかかるような一級
品ばかりではありません。とはいえ、なかには旧公家や寺社から流出し
たとおぼしき古文書や写本、博物館で作成した模写本などが多く含まれ
ており、「京都博物館」の作品蒐集のあり方、事業内容を知ることのでき
る超一級の資料であると考えられます。
この特集陳列では、「京都博物館」の旧蔵品のうち、とくに書跡関係の
作品を中心にして、幻の博物館の実像に迫るとともに、京都国立博物館
の奥深さを体感していただきたく思います。

主な展示作品
京都博物館蔵品目録
画像は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/img/kanzou/k2.jpg

聚楽行幸和歌巻 烏丸光広筆
画像は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/img/kanzou/k3.jpg

・重文  明月記 建久十年春記
・和漢朗詠集 弘安三年九月書写
・重文 園太暦 洞院公賢自筆本
・後醍醐天皇宸翰消息 (大阪青山短期大学蔵)
・建武・貞和・貞治文書 南北朝
・大嘗会仮名記〈写本〉
・新古今和歌集 飛鳥井雅縁・忠雅僧正書写
・搨鴫暁筆抄
・文明・明応・文亀宣旨
・口宣・宣旨 各二通
・職源抄注〈写本〉
・河海抄〈写本〉
・保元物語〈写本〉
・伊達政宗消息 江戸
・医学天正記〈写本〉
・伊勢物語〈写本〉
・明月記〈写本〉
・園太暦〈写本〉
・狭衣物語〈写本〉
・岷江日楚〈写本〉
・雑図
・安斎随筆〈写本〉
・天平年間三綱牒写
・正倉院所伝道鏡法師書写
・小林良典和歌懐紙
・手鑑「翰墨場」
・旧院御所並博物館建築図のうち
・仙洞旧院博物館地実測図 明治
・京都博物館建築図面のうち博物館新造内景尺度 ヘールツ製作
・京都博物館建築図面のうち立面・平面図
・尾形光琳印譜
・嵯峨天皇宸翰李きょう雑詠写
・伝教大師度牒・戒牒写
・古文書写

展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/kanzou/kanzou.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/ctokutin-kan.html



[土曜講座]
毎週土曜日の午後1時30分から、当館講堂において、当館研究員が展
覧会や展示品に関連した講座を行っています。
参加費は無料。定員は176名です。
テーマによっては外部講師をお招きしています。
なお、特別展覧会開催中および特別展覧会開催中以外の毎月第2・4土
曜日開催の講座に関しては、講座当日の12時45分から渡り廊下にて入
場整理券を発行します(配布は先着順)。整理券がなくなり次第、受付を
終了いたしますので、あしからずご了承願います。
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平成19年11月3日
*国際シンポジウムのため休講
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平成19年11月10日
テーマ/天下人の造形―永徳と大画―
講師/美術史家 川本桂子
*整理券発行/特別展覧会「狩野永徳」(10/16縲・1/18)関連土曜講座
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平成19年11月17日
テーマ/中世仏教美術序論 
講師/研究員 大原嘉豊
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平成19年11月24日
テーマ/【家族の週間協賛講演会】絵巻の中の子どもたち
講師/列品管理室長 若杉準治
*整理券発行
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講座詳細は→http://www.kyohaku.go.jp/jp/kouza/kouza.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/doyou.html



[ボランティア解説]
10月18日から11月9日までの毎木・金曜日に、京都橘大学の学生ボラ
ンティアによる平常展示館の作品解説を行います。1階展示室の考古・
陶磁・彫刻の展示作品をわかりやすく解説します。午後1時、2時半、
4時からの3回行いますので、ぜひご利用ください。
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[博物館Dictionary] No.153 
あなたに語る・時代を超えて生きる心

重要文化財 松崎天神縁起 防府天満宮蔵(じゅうようぶんかざい ま
つざきてんじんえんぎ ほうふてんまんぐうぞう)

 それほど知られてはいないと思いますが、11月の第三日曜日(今年は
18日)が「家族の日」、そしてその日をはさむ二週間が「家族の週間」
と定(さだ)められています。そこで、今月の絵巻の展示(てんじ)は
家族の姿、子供の姿が描かれている場面を選(えら)んで展示してみま
した。 そのなかから「松崎天神縁起(まつざきてんじんえんぎ)」を
みていくことにしましょう。

画像は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/mmd/mmd153-1.html

この絵巻は、菅原道真(すがわらのみちざね)が太宰府(だざいふ)に
左遷(させん)され、そこでなくなったあと、怨霊(おんりょう)とな
って災(わざわ)いをなすので、その霊(れい)を鎮(しず)めるため
に天満宮(てんまんぐう)が建てられたこと、また天神さんのご利益(り
やく)などを六巻に描いています。
 そのうちここに展示した第四巻の第三段には、焼失(しょうしつ)し
た御所(ごしょ)を再建(さいけん)しているとき、虫の食った板が見
つかり、それをたどっていくと、何度建て替えてもまた焼いてやるとい
う怨霊のことばになっていたという話が描かれています。下の図は、そ
の第三段の御所再建の工事現場(こうじげんば)の様子(ようす)です。
木材を運んだり、これを切ったり、削(けず)ったりしているところが
描かれています。絵の中には、ここで働いている父親に付いてきたもの
でしょうか、子どもたちの姿も多く描かれています。その子どもたちは、
木くずを運んだり、墨付(すみつ)けをしたり、それぞれ仕事の手伝い
をしています。
 ところで、この工事現場の一画(いっかく)で異常(いじょう)な光
景(こうけい)が展開(てんかい)しています。画面の上方、大人の男
が子供を激(はげ)しく蹴(け)っ飛(と)ばしているのが見えます。
男の右にはその子と思われる子供がおり、また反対側(はんたいがわ)
からは手に刃物(はもの)(この絵巻が描かれた時代に、板を平(たい)
らにけずるのに使われていたやりがんなという道具です)を持った男が
飛び出してきていますが、これは蹴られた子供の親でしょう。詞書(こ
とばがき)にはこのできごとを説明するような文章は何もありません。
ではこの場面は何を描いているのでしょうか。
 実(じつ)はこの図にはもとになった図があります。それは国宝(こ
くほう)・伴大納言絵巻(ばんだいなごんえまき)(東京・出光美術館
蔵(とうきょう・いでみつびじゅつかん))の一場面です。この下の方
に描かれた、男が子供を蹴っ飛ばしているところは一見(いっけん)し
ただけで松崎天神縁起に似ていることがわかります。蹴っている男の横
にいる子どもも同じポーズです。伴大納言絵巻は、平安時代の始め、伴
大納言(伴善男(とものよしお))が応天門(おうてんもん)に放火(ほ
うか)してその罪(つみ)を左大臣(さだいじん)に着せようとした陰
謀事件(いんぼうじけん)を主題(しゅだい)にしています。
そしてこの場面は、大納言家に出納(すいとう)(倉番(くらばん))
として仕(つか)える男の子どもと、放火現場の目撃者(もくげきしゃ)
の子どもとが喧嘩(けんか)を始(はじ)め、そこへ出納が飛び出して
きて、自分の子どもを脇(わき)に寄せて相手の子どもを蹴っ飛ばして
いるところです。このことがきっかけになって、目撃者は大納言の罪を
暴露(ばくろ)し、そのために伴大納言が流罪(るざい)になるわけで、
この場面は物語の中で重要(じゅうよう)な一場面です。ところが松崎
天神縁起の筆者(ひっしゃ)は、それを工事現場の添え物(そえもの)
として図柄(ずがら)を引用(いんよう)したのでした。そのとき、も
ともと、異時同図(いじどうず)といって、ひとつの場面に同一人物(ど
ういつじんぶつ)を繰(く)り返し描いて物語、時間の展開を表(あら
わ)す手法(しゅほう)が用(もち)いられていて、飛び出してきた男
と蹴っ飛ばしている男は同一人物であったのを、別々の人にしていると
ころに改変(かいへん)が加(くわ)えられています。当時の人がどの
ような鑑賞(かんしょう)をしていたかは明(あき)らかではありませ
んが、絵描きは、この工事現場で子供の喧嘩があり、そこへ親が出てき
て……という物語を想定(そうてい)しながらこの場面を描いたと思わ
れます。現代(げんだい)では著作権(ちょさくけん)とかで問題にな
りますが、昔(むかし)は逆(ぎゃく)にこのように先人(せんじん)
の業績(ぎょうせき)を引用・転用(てんよう)して芸術(げいじゅつ)
が発展(はってん)していったのです。
(美術室 若杉準治)

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