京都国立博物館 メールマガジン 第5号[KNM:0005]      

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[ご挨拶]
いよいよ、今月16日から、秋の特別展覧会『狩野永徳』が開催されます。
狩野永徳は桃山時代を代表する画家ですが、戦乱で焼失したため作品が
少数しか残っていません。今回の特別展は、永徳の画業の全貌を知るこ
とのできる史上初の大回顧展で、海外所蔵の作品も含め永徳の代表作を
一堂に集めます。すでに展覧会についての問い合わせも多く、多数の入
場者が見込まれています。ゆっくりと鑑賞して頂くためには、会期中で
も比較的早い時期にご来館いただければと思います。また、金曜日の夜
間開館(午後8時まで開館)もぜひご利用下さい。
(Y.N)

[特別展覧会:予告] 狩野永徳
10月16日(火)縲・1月18日(日)
特別展示館

信長、秀吉といった時の権力者に重用され、豪壮華麗な絵画様式を確立
した天才絵師・狩野永徳。
 この展覧会では、桃山画壇の頂点に君臨しながらも、描いた作品のほ
とんどが灰燼に帰したといわれる狩野永徳の画業の全貌に迫ります。
 永徳の代表作はもちろん、伝永徳ならびに父松栄や弟宗秀、長男光信
ら永徳と同時代に活躍した狩野派絵師の作品や、海外からの里帰り品、
初公開・新発見の作品をあわせた約70件が一堂に会します。
 永徳芸術の真髄に触れる史上初の大回顧展、ぜひご高覧ください。

主な展示作品
・国宝 花鳥図襖 狩野永徳筆 聚光院蔵
・重要文化財 仙人高士図屏風 狩野永徳筆 京都国立博物館蔵
・織田信長像 狩野永徳筆 大徳寺蔵
・洛外名所遊楽図屏風 狩野永徳筆
・国宝 檜図屏風 東京国立博物館
・国宝 洛中洛外図屏風 米沢市上杉博物館
・重要文化財 群仙図襖 南禅寺

展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/070710/tokubetsu.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/ctokuten-ei.html

公式ホームページは→
http://eitoku.exh.jp/
公式ホームページ携帯版は→http://eitoku.exh.jp/k/

[特集陳列:予告] 能楽と美術
10月11日(木)縲・1月11日(日)
平常展示館14・17室

 能楽が日本を代表する伝統的な舞台芸能として、現代にも脈々と生き
続けていることは、言を俟たないでしょう。しかしながら、能楽は常に
隆盛を誇ってきたわけではありません。室町時代に大成された能楽は、
寺社の法楽として育まれ、足利将軍家の引き立てによって貴顕に賞玩さ
れるようになりました。そして江戸時代には、武家の式楽として儀式に
欠かせない芸能へと発展したのです。しかし、このような順調な歩みも、
明治維新による幕藩体制の崩壊をうけて大打撃を蒙ります。式楽として
の演能が不要になり、大名家が抱えていた能楽師や演能の諸道具が、行
き場を失ってしまったのです。
そのような苦難の時期に能楽界を支えたのが、さまざまな階層に広が
っていた能楽愛好者でした。このたび一括して登録美術品となった能楽
コレクションの設立者も、そのひとりです。大正から昭和にかけて実業
界で活躍するかたわら、自らも能を舞い、大名家などから放出された能
面・能装束などを核に、コレクションを形成していきました。
特別陳列「能楽と美術」では、これまで全貌が知られていなかったこ
の能楽コレクションを初公開します。大名家伝来の能面・能装束などと
ともに、近代に製作された能装束をも含んだ作品群は、江戸時代から現
代への橋渡しとなった時代の、能楽をめぐる美術の諸相を伝えてくれる
ことでしょう。

主な展示作品
能装束
紅地立涌に楓蝶文様唐織
画像は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/img/nougaku/n1.jpg

紅地青海波藤文様縫箔
黄地絣水衣
茶地蜀江文様翁狩衣
萌葱地唐花七宝文様袷法被
浅葱・萌葱・鉄色段熨斗目
赤地青海波に四季花熨斗文様唐織
紫地鳳凰文様金襴長絹
能面
小尉
小面

猩々
謡本
光悦謡本 百冊 橘紋散蒔絵箪笥入
謡本〈無章句未装本〉
楽器
唐松蒔絵小鼓胴 網干蒔絵鼓箱入。楓蒔絵太鼓胴

展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/nougaku/nougaku.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/ctokutin-nougaku.html



[土曜講座]
毎週土曜日の午後1時30分から、当館講堂において、当館研究員が展
覧会や展示品に関連した講座を行っています。
参加費は無料。定員は176名です。
テーマによっては外部講師をお招きしています。
なお、特別展覧会開催中および特別展覧会開催中以外の毎月第2・4土
曜日開催の講座に関しては、講座当日の12時45分から渡り廊下にて入
場整理券を発行します。整理券がなくなり次第、受付を終了いたします
ので、あしからずご了承願います。
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平成19年10月6日
テーマ/青磁から白磁へ
―10・11世紀の輸入中国陶磁と日本のやきもの―
講師/主任研究員 尾野善裕
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平成19年10月13日
テーマ/新出の加賀前田家伝来の能装束について 
講師/研究員 山川曉
*整理券発行/特集陳列「能楽と美術」(10/11縲・1/11)関連土曜講座
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平成19年10月20日
テーマ/元信から永徳へ
―国宝・聚光院障壁画を中心に―
講師/保存修理指導室長 山本英男
*整理券発行/特別展覧会「狩野永徳」(10/16縲・1/18)関連土曜講座
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平成19年10月29日
テーマ/新発見の永徳筆洛外名所遊楽図屏風
講師/同志社大学教授  狩野博幸氏
*整理券発行/特別展覧会「狩野永徳」(10/16縲・1/18)関連土曜講座
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講座詳細は→http://www.kyohaku.go.jp/jp/kouza/kouza.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/doyou.html


[京都・らくご博物館]
京都国立博物館では、多くの皆様に親しまれる博物館づくりの一環とし
て、我が国の伝統芸能である落語を「京都・らくご博物館」と題して春
夏秋冬の年4回、開催時の季節に応じた演目で上演しています。
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平成19年10月26日(金) 18:00開場 18:30開演
テーマ/京都・らくご博物館[秋]栗名月の会vol,15 
出演者/桂さん都  桂宗助  桂九雀  林家染二  桂都丸  
演目/当日のお楽しみ!
入場料/立見席(椅子なし/平常展観覧券付)1,500円
*注:椅子席は売り切れました。
中秋の名月の次の十三夜を栗名月とも呼びます。なんでもおいしい時期
ですから、たのしい落語でおなか一杯お楽しみください。
●チケットのお求め方法
1. ご来館の方への窓口販売 
販売場所:京都国立博物館 南門観覧券売場(七条通側)
販売時間:開館日の閉館30分前まで。
ただし、第2、第4土曜日は無料観覧日のため販売いたしません。
2. 電話:075-531-7504(京都国立博物館 総務課事業推進係)
 (受付時間は月曜日から金曜日の9:00縲・7:30。祝日は除く)
3.WEBからの申込み
申込は→https://www7.kyohaku.go.jp/KNM/servlet/Main
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[ボランティア解説]
10月18日から11月9日までの毎木・金曜日に、京都橘大学の学生ボラ
ンティアによる平常展示館の作品解説を行います。1階展示室の考古・
陶磁・彫刻の展示作品をわかりやすく解説します。午後1時、2時半、
4時からの3回行いますので、ぜひご利用ください。
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[留学生の日]
京都国立博物館では、留学生の方々に日本文化への理解を深めていただ
くため、「留学生の日」を設けています。本年も下記のとおり実施いたし
ます。
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平成19年10月8日(月・祝)
対象:日本の高等教育機関に在学中の外国人留学生等
●事業内容
・平常展の無料観覧(引率者含む)
・煎茶サービスの実施(当館茶室「堪庵」にて)
11:00縲・4:00  協力:(財)煎茶道方円流
・特別展覧会「狩野永徳」の無料観覧券(10月16日縲・8日まで有効・本
人のみ1枚限り)をプレゼント

*入館の際、「学生証」等をご提示ください。
*「留学生の日」は、東京国立博物館(11月17日)、奈良国立博物館(11月1日
)、九州国立博物館(11月3日)でも実施します。
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[博物館Dictionary] No.152 
あなたに語る・時代を超えて生きる心

仏説弥勒上生経(ぶっせつみろくじょうしょうきょう)(版本(はんぽん))
―印刷物(いんさつぶつ)にみる日中の違い―


今日は、版本(はんぽん)―板木(はんぎ)にほって印刷した本のこと―に
ついて勉強したいと思います。
 ところで、皆さんは世界四大発明ということを聞いたことがあります
か? それは、「紙」・「火薬」・「羅針盤(らしんばん)(コンパス)」、
そして「印刷術(いんさつじゅつ)」ということになりますが、いずれも
中国で発明されたものといわれています。
 まず最初に、印刷の意味を考えてみることにしましょう。印刷の「印」
とは「しるし」や「はんこ」のこと、「刷」とは「する」とか「こする」
という意味です。皆さんは、年賀状を版画で作ったことがあると思いま
すが、今はそれを頭に思い浮かべてみましょう。図がらを彫刻刀で版画
板にほって絵の具などを着けてから、版画板に年賀状をのせてバレンで
こする、これが印刷です。もし、年賀状を下において上から版画板を押
しつけたとすると、それは「印」すなわち「はんこ」と同じだといえま
す。もし、「はんこ」も印刷だということになると、印刷の起源(きげん)
はとんでもなく古くなってしまうのです。
 以前は、奈良時代の「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとうだらに)」という
小さな巻物―考古室に展示中です―が世界最古の印刷物といわれていま
したが、どの遺品(いひん)を見ても裏にこすった跡が見当たらないとの
報告があります。そうなると、これは印刷物ではなく、「印」すなわち
「はんこ」の類だとみられるのです。
 いつ板木に彫ったかという記録―それを刊記(かんき)といっています
―がある世界最古の印刷物は、イギリスの探検隊が中央アジアの敦煌(と
んこう)から持ち帰ったお経や文書の中にある『金剛般若経(こんごうは
んにゃきょう)』というお経です。それには唐時代の咸通(かんつう)九年
(868)いう刊記があります。唐時代をさかのぼる印刷物があるかどうか
は、はっきりとはしませんが、印刷技術が盛(さか)んになるのは、中国
の宋時代になってからでした。
 さて、『仏説弥勒上生経(ぶっせつみろくじょうしょうきょう)』とい
うお経を見てください。

画像は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/mmd/mmd152-1.html
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/mmd/mmd152-2.html


印刷の本家中国では、必要な枚数の板木をほり、一枚の板木に一枚の紙
をのせて印刷します。お経のように、何枚もつなぐ必要があるものは、
その端(はし)っこに何巻目や何枚目という情報をほっておいて、全部が
刷り終わってから、その順番に紙を継(つな)いでいきます。
 ところが日本では、必ずしもそうではありません。なんと日本では、
お経などは紙を巻物状に継いでから、その巻物をひろげながら順番に印
刷するというとっても面倒(めんどう)なやり方をしています。この『仏
説弥勒上生経』は、鎌倉時代後半の印刷物とみられますが、やはり紙と
紙の継ぎ目に文字がかかっています。
 それでは、どうしてこんな面倒なことをしたのでしょうか? これは、
あくまでも手で書き写す代わり―代用品(だいようひん)といってもよい
でしょうか―のやり方なのです。仏さまの教えを記したお経は、楷書体
(かいしょたい)でしっかり書き写すのが基本となっています。その時に
は、まず紙を継ぎ、界線(かいせん)という罫線(けいせん)を引いた後で、
お経の文字を書き写していくのです。印刷された文字のかたちを見てく
ださい。まるで手で書いたような字のかたちをしています。これも手で
書き写す代わりということを表しているわけです。
 最後に紙の色を見てください。ねずみ色をしていますが、これはすき
返しの紙を使っているからです。すき返しの紙とは、今でいうリサイク
ル・ペーパーのことで、一度使った紙をくだいて、もう一度、紙を造(つ
く)るわけです。だから、前の墨の色が出てくるわけです。
 お経にこのような紙を使う場合は、亡くなった人の供養(くよう)のた
めに、その人の消息(しょうそく)(手紙のこと)をくだいて再生紙(さい
せいし)として使うことが多いのです。おそらく、このお経も亡くなった
人を供養するために刷られたものと思われます。
 日本と中国の印刷物の違いも見くらべてください。
(美術室 赤尾栄慶)


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