京都国立博物館 メールマガジン 第2号[KNM:0002]      

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[ご挨拶]
京都の街に、祇園祭りの囃しが聞こえるようになってきました。当館で
は、この時期、毎年、前年度に新たに館蔵品に加わった作品の御披露目
の特集陳列「新収品展」を開催します。昨年度は、重要文化財の太刀や
重要美術品の五鈷鈴など、大変レベルの高い作品を寄贈していただきま
した。これが今年の「新収品展」では初公開されます。また、購入によ
って館蔵品に加わった野々村仁清の工房跡から出土した多数の陶片は、
研究者も注目する、陶磁器ファン必見の新資料です。そして、新収品展
の期間中は、これに関連する土曜講座も開催されます。ぜひ御来館くだ
さい。
(Y.N)

[特別展覧会:予告] 狩野永徳
10月16日(火)縲・1月18日(日)
特別展示館

日本美術史上、最も才能豊かに最も鮮烈に時代を駆け抜け、豪壮華麗な
大画の数々で桃山芸術を創り上げた絵師・狩野永徳。画壇の頂点に君臨
しながらも、描いた作品のほとんどが灰燼に帰した悲運の天才は、400余
年の時を越えて、今我々に何を語りかけるのか。
この秋、京都国立博物館では「狩野永徳」の史上初の大回顧展を開催し、
桃山の怪物絵師の全貌に迫ります。

主な展示作品
・国宝 檜図屏風 東京国立博物館
・国宝 洛中洛外図屏風 米沢市上杉博物館
・重要文化財 群仙図襖 南禅寺

展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/eitoku/eitoku.html


[特集陳列:開催中] 新収品展
6月20日(水)縲怩V月29日(日)
平常展示館13・17室

当館では館蔵品の充実を目指し、毎年さまざまな分野の作品を収集し
ています。本展では、昨年度に購入した作品、寄贈をうけた作品を紹
介します。

主な展示作品
【絵画】
・地蔵菩薩像
画像は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/img/sin2007/s2007-4.jpg
【金工】
・重要文化財 太刀 銘粟田口一竿子忠綱彫同作 宝永六年八月吉
画像は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/img/sin2007/s2007-5.jpg
【染織】
・大紋付熨斗目段唐松梅文様被衣
画像は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/img/sin2007/s2007-6.jpg

展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/sin2007/sin2007.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/ctokutin-sin3.html


[土曜講座]
毎週土曜日の午後1時30分から、当館講堂において、当館研究員が展
覧会や展示品に関連した講座を行っています。
参加費は無料。定員は176名です。
テーマによっては外部講師をお招きしています。
なお、特別展覧会開催中および特別展覧会開催中以外の毎月第2・4土
曜日開催の講座に関しては、講座当日の12時45分から渡り廊下にて入
場整理券を発行します。整理券がなくなり次第、受付を終了いたします
ので、あしからずご了承願います。
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平成19年7月7日
テーマ/東洋絵画の思想?―「写生」と「写実」―
講師/館長 佐々木丞平
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平成19年7月14日
テーマ/◆衣(きぬ)かつぎ風俗ときもの
講師/研究員 山川曉
*整理券発行
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平成19年7月21日
テーマ/◆かたちの伝承―新収の刀剣と仏具を通して―
講師/主任研究員 久保智康
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平成19年7月28日
テーマ/◆お姫さまをさがせ!蒔絵婚礼調度の持ち主はだれ?
講師/研究員 永島明子
*整理券発行
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講座詳細は→http://www.kyohaku.go.jp/jp/kouza/kouza.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/doyou.html


[京都らくご博物館]
京都国立博物館では、多くの皆様に親しまれる博物館づくりの一環とし
て、我が国の伝統芸能である落語を「京都・らくご博物館」と題して春
夏秋冬の年4回、開催時の季節に応じた演目で上演しています。
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平成19年8月17日(金) 18:00開場 18:30開演
テーマ/京都らくご博物館[夏]納涼寄席vol,14 
出演者/桂雀喜 桂つく枝 桂小米朝 桂米平 桂雀三郎  
演目/当日のお楽しみ!
入場料/立見席(椅子なし/平常展観覧券付)1,500円
*注:椅子席は売り切れました。
今回は、「納涼寄席」と題し、宵闇せまる夏の博物館で、暑さも忘れるほ
どおもしろい落語をお楽しみください。
●チケットのお求め方法
1. ご来館の方への窓口販売 
販売場所:京都国立博物館 南門観覧券売場(七条通側)
2. 電話:075-531-7504(京都国立博物館 渉外課事業推進係)
 (受付時間は月曜日から金曜日の9:00縲・7:30。祝日は除く)
3.WEBからの申込み
申込は→https://www7.kyohaku.go.jp/KNM/servlet/Main
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[博物館Dictionary] No.149 
あなたに語る・時代を超えて生きる心

たかがカケラ、されどカケラ 
―仁清御室窯跡出土陶片―

さすがに、コナゴナにはなっていませんが(写真1・2)、みんな割
れていてカケラばっかりです。なぜなら、このカケラは、やきものを焼
いた窯の跡から出土したものだからです。
写真1の画像は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/mmd/mmd149-1.html
写真2の画像は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/mmd/mmd149-2.html
 最近では、電気やガスの窯が使われることが多くなり、やきもの作り
で大きな失敗をする確率はずいぶんと低くなってきたようです。しかし、
燃料に薪を使っていた昔の窯では、窯焚き(やきもの作り)のたびに失
敗作もかなりの量ができてしまいました。基本的に失敗作は売り物にな
りませんから、作った人が自分で使うか、捨てるしかありません。もっ
とも、自分で使う量はたかが知れていますから、多くは不要品として捨
てられることになります。といっても、今のように収集車が来てゴミを
持って行ってくれるわけではありませんし、失敗作をわざわざ遠くへ捨
てにいくのは、とても面倒です。そこで、窯の近くに失敗作が大量にう
ち捨てられることになります。昔、窯があった場所を掘ると、カケラが
たくさん出てくるのは、そういうわけです。
 こう言うと、「何だ、そんなゴミみたいなカケラ、後生大事にとって
おいたってしょうがないよ」という声が聞こえてきそうです。しかし、
そんなことはありません。失敗作であるにもかかわらず、このカケラが
すごく重要なのです。なぜなら、このカケラは、江戸時代の京都のやき
もの職人の中でも、一番の名人とされる野々村仁清(生没年不詳、17世
紀後半に活躍した)という人の窯の跡から出土したものだからです。
 実は、この仁清という人物、やきもの職人としてあまりにも有名だっ
たので、世の中には彼の作と称する贋作(ニセモノ)がごまんとありま
す。ですから、ホンモノとニセモノをどうやって区別するかが大問題な
のですが、その時このカケラが大活躍するわけです。何しろ、仁清の窯
の跡から出土したホンモノなのですから、これほど確かなものはないで
しょう。
 ただ、このカケラの重要性はそれだけにとどまりません。失敗作の破
片と思われるものの中に、粘土の輪や尖った足付の円盤など、何だか変
な形のものが混じっていますが(写真3)、一体何でしょう? これは、
窯の中で焼くときに、釉薬(やきものの表面を覆うガラス質の膜)が接
着剤となってくっついてしまわないように、積み重ねた器物と器物の間
にはさむ小道具で、「窯道具」と呼ばれるものです。
写真3の画像は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/mmd/mmd149-3.html
 こうした窯道具の形には、地域ごとに大きな違いがある一方で、師匠
から弟子へと受け継がれてゆくものであるため、どこでやきもの作りの
修行をしてきたのかが大きく影響します。そこで、仁清よりも前の時代
から、仁清のとよく似た窯道具を使っていたやきもの生産地を探すと、
現在の愛知県瀬戸市や岐阜県の美濃地域があげられます。つまり、仁清
は愛知県か岐阜県あたりでやきもの作りの勉強をしてきた確率が高い
と推測されるわけです。
 やきもの作りの方法を仁清から学んだ尾形乾山(1663縲・743)という
人の本の中には、仁清が若いころに尾張(現在の愛知県西部)の瀬戸で
やきもの作りの修行をしていたという話が書かれています。瀬戸の窯道
具と仁清の窯道具が似ているという事実は、乾山の話が正しいことを裏
付けるものといってよいでしょう。
 このように、見た目はただのカケラに過ぎないものでも、ちゃんと研
究してみると、正しい歴史を語る証人となるのです。
(工芸室 尾野 善裕)


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