京都国立博物館 メールマガジン 第16号[KNM:0016]

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[ご挨拶]
 暑い日が続きますが、みなさまお元気にお過ごしでしょうか?わたし
のように、京都に住んだことのない人間には、この暑い夏はひときわ身
に応えます。
 さて、どんなに暑かろうが雨が降ろうが、足を運んでくださるお客さ
まのために、博物館もがんばっています。8月の特集陳列は、常連の方々
にはもうお馴染みの坂本龍馬。今回は、京博が収蔵する資料に加えて、
ほぼ初公開となる龍馬の手紙2通などもお借りして、より充実した内容
になっています。幕末維新史に興味のある方は必見。館内に入ってしま
えば涼しいので、ぜひとも京博にお越し下さい。
(学芸部長 小松大秀)



[特別展覧会]  japan 蒔絵―宮殿を飾る 東洋の燦めき―
平成20年10月18日(土)縲・2月7日(日)
特別展示館

日本の蒔絵は「鎖国」の時代にも海外へ輸出されていました。遠く東
洋からもたらされる贅沢品として珍重され、各国の宮殿を飾りました。
この展覧会は、マリー・アントワネットのコレクションをはじめ、ヨー
ロッパの宮殿に伝わった数々の名品によって、日本の蒔絵のもうひとつ
の歴史を概観します。

展覧会詳細は→
http://japan-makie.jp/



[特集陳列]  坂本龍馬
平成20年7月23日(水)縲・月31日(日)
平常展示館13・17室

幕末の志士坂本龍馬(1835縲・867)は織田信長と並び、日本史上で最
も有名な英雄といえるかもしれません。京都国立博物館ではかつて数度
にわたって博物館が所蔵する坂本龍馬関係資料を展示してきました。す
でにその展示を御覧いただいた方も多いかと思います。今回の特集陳列
も小規模ではありますが、館蔵の龍馬書簡を中心に龍馬の遺品や刀、海
援隊関係資料などを展示し、あわせて関係する幕末の資料を展示いたし
ます。

展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/sakamoto_ryouma/sakamoto_ryouma2008.html

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[京都・らくご博物館]
京都国立博物館では、多くの皆様に親しまれる博物館づくりの一環とし
て、我が国の伝統芸能である落語を「京都・らくご博物館」と題して春
夏秋冬の年4回、開催時の季節に応じた演目で上演しています。
なお、「夏」(8月22日(金))は、すでに完売となっております。
詳細はこちら→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/kouza/rakugo/rkg_summer5.html



[土曜講座]
毎週土曜日の午後1時30分から、当館講堂において、当館研究員が展
覧会や展示品に関連した講座を行っています。
参加費は無料。定員は176名です。
テーマによっては外部講師をお招きしています。
なお、毎月第2・4土曜日および特別展開催期間中の開催の全講座に関
して、講座当日の12時45分から渡り廊下にて入場整理券を発行します。
整理券がなくなり次第、受付を終了いたしますので、あしからずご了承
願います。
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平成20年8月9日
夏期休講

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平成20年8月16日
夏期休講

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平成20年8月23日
テーマ/行海の懐紙
講 師/研究員 羽田 聡
*整理券発行

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平成20年8月30日
テーマ/古代貨幣の謎
講 師/保存修理指導室長 村上 隆

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講座詳細は→http://www.kyohaku.go.jp/jp/kouza/kouza.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/doyou.html



[博物館Dictionary]  No.162
あなたに語る・時代を超えて生きる心

色絵花卉藪柑子図火入(いろえかきやぶこうじずひいれ)

仁阿弥道八作(にんなみどうはちさく) 谷文晁(たにぶんちょう)ほ
か画(が) 両足院(りょうそくいん)蔵 について勉強してみよう。


画像はこちら→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/mmd/mmd162.html

このごろは、もうすっかりライターが普及(ふきゅう)してしまって、
マッチで煙草(たばこ)の火をつける人もほとんどいないようですが、
まだマッチすらなかった時代には、火入といって煙草用の種火(たねび)
を入れておく器(うつわ)がありました。
 この「やきもの」製の火入(ひいれ)には、底裏(そこうら)に「道
八(どうはち)」という作者の名前が彫(ほ)ってあるので、京都で代々
(だいだい)「やきもの」作りを家業(かぎょう)としてきた高橋道八(た
かはしどうはち)という人の作品だ、とわかります。胴部(どうぶ)の
四方(しほう)には、撫子(なでしこ)・桔梗(ききょう)・桜(さくら)・
薮柑子(やぶこうじ)といった花や実が、なかなか上手(じょうず)に
描いてありますから、初めてこの火入を見たとき、けっこう展示映(て
んじば)えのする(博物館での展示に向いているということ)作品だな、
とは思ったのです。でも、展示はしませんでした。
 なぜって、それはこの火入が、いったい何代目(なんだいめ)の道八
の作品なのか、それがわからなかったからです。
展示したら、きっと「これは何代目の作品ですか?」と尋(たず)ねら
れるに違(ちが)いありません。
それがわからないのに展示なんぞしようものなら、薮(やぶ)をつつい
て蛇(へび)を出すことになりかねません。厄介(やっかい)ごとは、
起(お)きてしまう前に、避(さ)けておくのが賢(かしこ)いやりか
たというのものでしょう。
 でも、しばらくしてから、はたと気がついたのです。四つの面に描か
れている絵のそれぞれに、何か文字が添(そ)えられていますが、これ
は一体(いったい)なんでしょう? 文字の下には印鑑(いんかん)も
押(お)してありますし、どうやらこれは絵を描いた人の署名(しょめ
い)のようです。
そうだとすると、それが誰(だれ)かわかれば、この火入が作られた時
期(じき)がいつなのか、推測(すいそく)する手がかりになるかもし
れません。そこで、ちょっと調(しら)べてみました。
 まず、一番目立(めだ)つ撫子の花を描いたのは、谷文晁(たにぶん
ちょう)。有名(ゆうめい)な江戸(えど)の絵師(えし)で、宝暦(ほ
うれき)十三年(1763)に生まれて、天保(てんぽう)十一年(1840)
に亡(な)くなっています。
その左隣(ひだりどなり)の桔梗の花は、文晁の弟で、鳥取藩士(とっ
とりはんし)の養子(ようし)となった島田元旦(しまだげんたん)の
絵。元旦は、天明(てんめい)七年(1787)の生まれで、没年(ぼつね
ん)は文晁と同じ天保十一年です。
さらに左隣に描かれているのは、薮柑子という植物の実で、これを描い
たのは文晁の子供(こども)(実子(じっし))の谷文二(たにぶんじ)。
文化(ぶんか)九年(1812)に生まれ、嘉永(かえい)三年(1850)に
亡くなりました。
そして、残る桜の花を描いたのが谷文三(たにぶんぞう)で、詳(くわ)
しいことはわかりませんが、やはり文晁の子供だそうです。
 では、これで何がわかるでしょうか? まず、撫子と桔梗の花を描い
た文晁・元旦の兄弟は、二人とも天保十一年に亡くなっているのですか
ら、彼らの幽霊(ゆうれい)が描いたのでもない限(かぎ)り、この火
入が作られたのは、それ以前に違いありません。また、生まれる前に絵
を描くなんてことも、逆立(さかだ)ちしたって無理(むり)でしょう
から、文二が生まれた文化九年よりも前であるはずがありません。
つまり、仮(かり)に生まれて間もない0歳児の時から、文二が絵を描
けるような天才であったとしても(まず、そんなことはないでしょうが
…)、この火入が作られたのは文化九年から天保十一年までの間としか考
えられないのです。
 さあ、ここまでくれば、もう何代目の道八がこの火入を作ったのかは、
わかったも同じです。なぜなら、初代(しょだい)道八は文化九年より
も8年も前に亡くなっていますし、三代道八が家を継(つ)ぐのは、天
保十一年から2年も後のことだからです。
だから、文晁・元旦・文二・文三の四人に絵を描いてもらったこの火入
は、仁阿弥(にんなみ)とも呼ばれた二代目の高橋道八が作ったものに
違いない、と考えられるのです。
 さて、これにて一件落着(いっけんらくちゃく)。ようやく、安心して
展示できるというものです。
(工芸室 尾野善裕)

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