京都国立博物館 メールマガジン 第12号[KNM:0012]      

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[ご挨拶]
京都も、ようやく暖かくなってきました。4月8日(火)からは、いよ
いよ春の特別展覧会「没後120年記念 絵画の冒険者 暁斎Kyosai竏昼゚
代へ架ける橋竏秩vが始まります。海外ではすでに高い評価を得ているに
もかかわらず、没後120年、河鍋暁斎のこれほど大規模な展覧会は日本
国内ではこれまで開催されたことはありませんでした。みなさんにとっ
ても、河鍋暁斎の名はあまり馴染みのないものかもしれません。しかし、
高度な技術を基礎としつつ、強烈な個性を放射する奇想に満ちた彼の作
品群は、きっと見る人の目を捕らえて放さないないでしょう。平成12年
秋に開催された「若冲」展の時のように、この展覧会を機に、暁斎ブー
ムが起るかもしれません。いずれにせよ、河鍋暁斎の再評価のきっかけ
となったとして長く語り伝えられる、歴史的な展覧会になるはずです。
ぜひ、御来館下さい。また、平常展示館では4月2日(水)より、特集
陳列「平安時代の考古遺物竏柱ケ氏物語の時代竏秩vも開催しております。
特別展の観覧後には、平常展示館にも足をお運びください。
(Y.N)


[特別展覧会:開催中]  没後120年記念 絵画の冒険者 暁斎 Kyosai
―近代へ架ける橋―
平成20年4月8日(火)縲・月11日(日)
特別展示館

 河鍋暁斎(1831縲・9)は、初め浮世絵を、次いで狩野派を学び、幕末・
明治期の江戸・東京で活躍しました。
 この展覧会では、暁斎没後120年を記念し、初期から晩年にいたる暁
斎の重要作品を選りすぐって紹介します。あっと驚く奇想的な作品はも
とより、暁斎の骨格を形づくった狩野派的側面をしめす作品もあわせた、
はじめての体系的な展示となります。
 当館では、伊藤若冲、曾我蕭白と、近世絵画の強烈な個性を紹介して
きました。今回の河鍋暁斎も、そのラインナップに加わる画家。単なる
奔放ではない、基礎的修練の上に生まれた強烈な個性は、あなたの心を
とらえてはなさいでしょう。


主な展示作品
・大和美人図屏風 部分〈コンドル旧蔵〉河鍋暁斎筆
・地獄太夫と一休 河鍋暁斎筆 福富太郎コレクション資料館
・地獄極楽めぐり図 河鍋暁斎筆 静嘉堂文庫美術館蔵
・地獄極楽図 河鍋暁斎筆 東京国立博物館蔵
・風俗鳥獣画譜のうち髑髏と蜥蜴 河鍋暁斎筆

展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/080408_pre/tokubetsu.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/ctokuten-gy.html



[新春特集陳列:開催中] 平安時代の考古遺物-源氏物語の時代-
平成20年4月2日(水)縲・月29日(日)
平常展示館2室

 今年、2008年は『源氏物語』が書かれてから一千年目とされます。作
者の紫式部は学問の才能を左大臣の藤原道長に認められ、道長の長女で
一条天皇の中宮である彰子の女房として宮仕えにあがりました。一条天
皇を中心とするこの宮廷での見聞が源氏物語執筆の根幹となったとされ
ています。
 展示の主役はその藤原道長が寛弘四年(1007)に大和国の金峯山に参
詣して埋納したひかり輝く金銅製の経筒(国宝、元禄時代に出土)です。
この経筒は間違いなく紫式部の生きた時代の作品なのです。道長が金峯
山の蔵王権現に捧げた願意がその表面に五百字余り刻まれています。日
本最古の埋納用経筒です。
 紫式部が仕えた上東門院彰子が長元四年(1031)に比叡山横川の如法
堂に納めた金銀に塗られた華麗な経箱(国宝、大正時代に出土、延暦寺
蔵)も父道長の経筒の隣にならべます。女院の奉納品らしい繊細優美な
経箱であり、平安時代を代表する金工作品です。
 また藤原氏墓地とされる宇治市木幡から出土した青磁水注は中国越州
窯で製作されたもので、平安時代半ばの貴族たちがこのような高価な舶
来の品を所有していたことを示しています。紫式部もこのような青磁の
器を目にしたかもしれません。
 あわせて道長造営の法成寺の軒瓦や京都周辺出土の経塚遺物などを展
示し、紫式部の生きた平安時代の様子を考古遺物を通じて紹介いたしま
す。
 


主な展示作品

京都市・豊楽院跡出土鬼瓦
重文 京都市・平安宮跡出土鬼瓦・緑釉軒丸瓦・緑釉軒平瓦・緑釉鴟尾残欠 当館
重文 京都市・山科区北大日出土緑釉骨壺
京都市・上京区上庄田瓦窯出土鴟尾残欠
奈良・御所市増出土緑釉草花文瓶
重文 線刻阿弥陀五仏鏡像〈永延二年在銘〉
国宝 奈良・金峯山経塚出土金銅藤原道長経筒 金峯神社
国宝 滋賀・比叡山横川如法堂跡出土金銀鍍宝相華文経箱 延暦寺
国宝 奈良・金峯山経塚出土のうち金銀鍍双鳥宝相華文経箱・金銅経箱二
合 金峯山寺
重文 宇治市・木幡金草原出土青磁水注 当館
京都市・上京区法成寺跡出土軒丸瓦・軒平瓦 京都府立鴨沂高等学

京都市東山区法性寺跡出土軒丸瓦・軒平瓦 当館
京都市・左京区鞍馬寺経塚出土品
重文 京都市・左京区花脊別所経塚出土品

重文 伝和歌山市・六十谷出土緑釉経筒 当館
画像は→
http://www3.kyohaku.go.jp/cgi-bin/list.cgi?gazo_no=1&mz_synm=0000006738&name1=%CE%D0%EE%D8%B7%D0%C5%FB&limit_no=0

国宝 滋賀・叡山横川如法堂跡出土金銀鍍宝相華文経箱 延暦寺
画像は→http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/genji/g1.html

展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/genji/genji.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/ctokutin-gen.html



[京都・らくご博物館]
京都国立博物館では、多くの皆様に親しまれる博物館づくりの一環とし
て、我が国の伝統芸能である落語を「京都・らくご博物館」と題して春
夏秋冬の年4回、開催時の季節に応じた演目で上演しています。
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平成20年4月25日(金) 18:00開場 18:30開演
テーマ/京都・らくご博物館[春]若草の会vol,17 
出演者/桂雀太  林家染左  桂雀松 桂枝三郎 桂小米  
演目/当日のお楽しみ!
入場料/座席指定(平常展観覧券付)    3,000円
立見席(椅子なし/平常展観覧券付)1,500円
新緑の眩しい季節になり、まもなく楽しいゴールデンウィークがやって
きます。たのしいらくごで助走をつけましょう。
イベント詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/kouza/rakugo/rkg_spring6.html
●チケットのお求め方法
1. ご来館の方への窓口販売 
販売場所:京都国立博物館 南門観覧券売場(七条通側)
販売時間:開館日の閉館30分前まで。
ただし、第2、第4土曜日は無料観覧日のため販売いたしません。
2. 電話:075-531-7504(京都国立博物館 総務課事業推進係)
 (受付時間は月曜日から金曜日の10:00縲・7:00。祝日は除く)
3.WEBからの申込み
申込は→http://www.kyohaku.go.jp
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[土曜講座]
毎週土曜日の午後1時30分から、当館講堂において、当館研究員が展
覧会や展示品に関連した講座を行っています。
参加費は無料。定員は176名です。
テーマによっては外部講師をお招きしています。
なお、特別展覧会開催中および特別展覧会開催中以外の毎月第2・4土
曜日開催の講座に関しては、講座当日の12時45分から渡り廊下にて入
場整理券を発行します。整理券がなくなり次第、受付を終了いたします
ので、あしからずご了承願います。
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平成20年4月5日
テーマ/考古学から見た源氏物語の時代
講師/考古室長 宮川禎一
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平成20年4月12日
テーマ/※曾祖父・河鍋暁斎
講師/河鍋暁斎記念美術館館長  河鍋楠美氏
*整理券発行/特別展覧会「絵画の冒険者 暁斎 Kyosai竏昼゚代へ架け
る橋竏秩v(4/8縲・/11)関連土曜講座
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平成20年4月19日
テーマ/※幕末の江戸と暁斎
講師/板橋区立美術館館長 安村敏信氏
*整理券発行/特別展覧会「絵画の冒険者 暁斎 Kyosai竏昼゚代へ架け
る橋竏秩v(4/8縲・/11)関連土曜講座
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平成20年4月26日
テーマ/暁斎のおもしろさ?
講師/同志社大学教授 狩野博幸氏
*整理券発行/特別展覧会「絵画の冒険者 暁斎 Kyosai竏昼゚代へ架け
る橋竏秩v(4/8縲・/11)関連土曜講座
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講座詳細は→http://www.kyohaku.go.jp/jp/kouza/kouza.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/doyou.html


[博物館Dictionary] No.158
あなたに語る・時代を超えて生きる心

文殊渡海図(もんじゅとかいず) 金戒光明寺蔵(こんかいこうみょう
じぞう)

「三人寄(よ)れば、文殊(もんじゅ)の知恵(ちえ)」
こんなことわざがありますが、知っていますか。エッ、知らない!? で
も、そういえば、最近(さいきん)はあまり使わないですね。
これは、一人ではよいアイデアが浮(う)かばなくても、三人一緒に考
えるとすごいアイデアが生まれる、という意味です。その「すごいアイ
デア」を「文殊の知恵」に例(たと)えているのは、文殊菩薩(もんじ
ゅぼさつ)がとても頭のいい仏様(ほとけさま)として有名だからです。
この文殊菩薩、インドの実在人物をモデルとすると言われていますが、
大昔のことなのでよくわかりません。ちなみにインド名はマンジューシ
ュリーといいます。中国で漢字の音(おん)をあてて「文殊師利」「文
殊室利」と表(あらわ)したので、それを略(りゃく)して「文殊」と
言ったのです。
さて、今回ご紹介(しょうかい)するのは、金戒光明寺(こんかいこう
みょうじ)の文殊渡海図(もんじゅとかいず)です(画像)。

画像(文殊渡海図 金戒光明寺蔵)は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/mmd/mmd158-1.html

これは、14世紀の半ばに作られた絵です。13世紀後半に作られた、醍醐
寺(だいごじ)に伝わる文殊渡海図とそっくりなので、それを写したの
かもしれません。
海の上を雲に乗ってやってくる文殊一行が描かれていますが、この組み
合わせが何にもとづいたものか、いまいちよく分かっていないのが不思
議(ふしぎ)です。
しかし、以下の面々(めんめん)だとされています。
まず、善財童子(ぜんざいどうじ)は、実在の人かはわかりませんが、
『華厳経(けごんきょう)』というお経の中に登場します。インドの金
持ちの子供で、ある日何を血迷(ちまよ)ったのか、真理(しんり)を
知りたいと思い立ち、文殊の指導(しどう)を受けて悟(さと)りを求
める旅に出た、といいます。
優填王(うてんのう)は、インドのある国の王様と言われていますが、
最初は文殊の乗る獅子(しし)(ライオン)の御者(ぎょしゃ)を表し
ただけだったようです。だから、鼻が高く、ちょっと濃(こ)い、いか
にも外国人という顔立ちで表現されています。
仏陀波利(ぶっだばり)は、7世紀のカシミール出身のお坊さんで、は
るばる中国へ来ました。中国では、五台山(ごだいさん)というところ
で文殊に会ったと言われています。五台山は、文殊のいるという清凉山
(せいりょうざん)のことだと昔の人は信じていたのです。
最後が大聖老人(だいしょうろうじん)といいますが、最勝老人(さい
しょうろうじん)や婆藪仙(ばすうせん)などとも呼ばれるように、い
まだよくわからない謎(なぞ)の人物です。ただし、先ほど仏陀波利が
文殊に会ったといいましたが、中国のあるお話では、そのときの文殊は
に老人の姿に化(ば)けていた、としていますから、これを表したので
はないかとされます。とすると、文殊の本体と分身(ぶんしん)が同じ
絵に描かれていることになります。ちょっと変ですね。
さて、史料(しりょう)を見ていると、こうした組み合わせは、もとも
とは中国で生まれたようです。それが平安時代の半ばに日本に伝わって
きたようです。しかし、一行が海を渡ってくる姿を描くのは、日本だけ
のようです。
以上をふまえて、登場人物をあらためて見てみると、文殊信仰が、イン
ドから中央アジアを通って中国へ伝わってきたことが、うっすらと浮か
びあがってきます。
しかも、海を描くのは日本だけのようだといいましたが、中国までのル
ートには海がありません。ですから、この海を渡る姿が中国から日本に
やってくる様子(ようす)と俗(ぞく)に言われているのは、うさん臭
(くさ)いようでいて、あながち間違(まちが)いではないようです。
とすると、この海は東シナ海か日本海かということになりましょうか?
それにしても、すっきりしないことばかりです。しかし、確実(かくじ
つ)に言えるのは、昔の日本人がこうしたものを創(つく)り出したと
いうこと、そしてそういうものが生み出されるくらい文殊が人々に親(し
た)しまれていたということでしょう。
「…ようです」ばかりの、ずいぶん歯切(はぎ)れの悪(わる)い話で
がっかりしましたか? でも、世の中、わかったことばっかりだと思う
のは大間違いです。わからないこともたくさんある、ということをお伝
えするのも、大切なことだと思っています。
(美術室 大原嘉豊)


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