京都国立博物館 メールマガジン 第11号[KNM:0011]      

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[ご挨拶]
 ヨーロッパの陶磁器と日本の陶磁器の相互関係に新たな光をあてた特
別展覧会「憧れのヨーロッパ陶磁竏茶}イセン・セーブル・ミントンとの
出会い竏秩vも、好評のうちにいよいよ9日(日)で終わります。まだご
覧になっていない方、ぜひ御来館下さい。
 また、現在、4月8日(火)から5月11日(日)まで開催されます
特別展覧会「没後120年記念 絵画の冒険者 暁斎Kyosai 竏昼゚代へ
架ける橋竏秩vの準備が、最終段階に入っています。この特別展覧会は、
2000年秋に開催され今も続く若冲ブームのきっかけとなった「若冲」
展、2005年春に「円山応挙がなんぼのもんぢゃ」のキャッチコピー
を付して開催された「曾我蕭白」展に続く、近代絵画界の強烈な個性を
紹介する特別展覧会の第3段にあたります。若冲、蕭白の展覧会を担当
した狩野博幸さん的に言えば、喉越しが良くさらりとはしているが大し
て風味もない酒のような絵に飽きた人、強烈な個性を放射する絵を求め
る人には、必見の展覧会と言えるでしょう。
 このほか、今月30日(日)まで、特集陳列「雛まつりとお人形」や
「仏師 清水隆慶竏著Vいらくのてんごう竏秩vも引き続きご覧になれま
す。ご来館をお待ちしております。
(Y.N)

[特別展覧会:開催中]  憧れのヨーロッパ陶磁―マイセン・セーヴル・ミントンとの出会い―
平成20年1月5日(土)縲・月9日(日)
特別展示館

 いつの時代も、人は異国に対して一種の畏れを感じる一方で、強い憧
れをもつようです。このところ、高級食器としてのヨーロッパ陶磁が人
気を博し、テーブル・コーディネートで活躍している背景にも、おそら
くある種の「異国趣味(エキゾチシズム)」があるのでしょう。しかし、
日本人とヨーロッパ陶磁との出会いは、そんなにごく最近のことではあ
りません。早くも江戸時代初めから日本人はヨーロッパのやきものを賞
翫してきており、その歴史はすでに四百年近くにも及んでいます。
 江戸時代の日本人に愛されたヨーロッパ陶磁とは、一体どのようなも
のだったのか? そして、日本へもたらされるヨーロッパ陶磁は、明治
維新をはさんで、どのように変貌していったのでしょうか?
 大英帝国がその繁栄を誇ったヴィクトリア女王の時代に活躍した著名
な工芸デザイナー クリストファー・ドレッサーが選び、日本へもたらし
たイギリス陶磁。約百年前にニーダー・シュレジエンのフリッツ・ホッ
ホベルク伯爵から贈られたマイセン・ベルリンなどのドイツ陶磁。それ
らに加えて、オランダ・フランス・デンマーク・ハンガリーなど、ヨー
ロッパ各地の魅力的なやきものおよそ百七十件を紹介します。
 さらに、ヨーロッパ陶磁のデザインの源流となった東洋のやきものや、
逆にヨーロッパの影響を受けて作られた日本の陶磁器を通して、洋の東
西を超えた文化の相互影響をさぐります。江戸から明治時代の日本人が
実際に目にしたヨーロッパ陶磁の数々を通して、彼らが感じたであろう
異国情緒にひたってみませんか。


主な展示作品
・多彩釉白泥花唐草文飾壺 イギリス ミントン 東京国立博物館蔵
・青地色絵飛鳥文皿 イギリス ミントン 東京国立博物館蔵
・瑠璃地金彩窓絵人物図双耳壺 フランス セーヴル 東京国立博物館

・色絵楽奏猿像〈猿のオーケストラ〉ドイツ マイセン 京都国立博物
館蔵
・色絵薔薇花形カップ ドイツ マイセン 京都国立博物館蔵

展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/080105/tokubetsu.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/ctokuten-yo.html



[特別展覧会:予告]  没後120年記念 絵画の冒険者 暁斎 Kyosai
―近代へ架ける橋―
平成20年4月8日(火)縲・月11日(日)
特別展示館

 河鍋暁斎(1831縲・9)は、初め浮世絵を、次いで狩野派を学び、幕末・
明治期の江戸・東京で活躍しました。
 この展覧会では、暁斎没後120年を記念し、初期から晩年にいたる暁
斎の重要作品を選りすぐって紹介します。あっと驚く奇想的な作品はも
とより、暁斎の骨格を形づくった狩野派的側面をしめす作品もあわせた、
はじめての体系的な展示となります。
 当館では、伊藤若冲、曾我蕭白と、近世絵画の強烈な個性を紹介して
きました。今回の河鍋暁斎も、そのラインナップに加わる画家。単なる
奔放ではない、基礎的修練の上に生まれた強烈な個性は、あなたの心を
とらえてはなさいでしょう。


主な展示作品
・大和美人図屏風 部分〈コンドル旧蔵〉河鍋暁斎筆
・地獄太夫と一休 河鍋暁斎筆 福富太郎コレクション
・地獄極楽めぐり図 河鍋暁斎筆 静嘉堂文庫美術館蔵
・地獄極楽図 河鍋暁斎筆 東京国立博物館蔵
・風俗鳥獣画譜のうち髑髏と蜥蜴 河鍋暁斎筆

展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/080408_pre/tokubetsu.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/ctokuten-gy.html



[新春特集陳列:開催中] 仏師 清水隆慶―老いらくのてんごう―
平成20年1月2日(水)縲・月30日(日)
平常展示館5・6室

 みなさんは仏師というと、どの時代の誰を思い浮かべますか。多くの
人は飛鳥時代の止利仏師、平安時代の定朝、鎌倉時代の運慶や快慶と
いったところを、まずは最初に思い浮かべるのではないでしょうか。そ
れは、仏像を専門とする研究者にしても同様で、近世の仏師については、
これまであまり研究が行なわれてきませんでした。ところが近年になっ
て、江戸時代の仏師や彼らが製作した仏像などにも次第に注目が集まっ
てきています。
 今回特集する清水隆慶も、江戸時代に京都で活躍した仏師で、四代ま
で続きました。今回はそのうち、麟岡<りんこう
と名乗った初代(一六
五九縲怦齊オ三二)と、毘首門亭<びしゅもんてい
を名乗った二代(一七
二九縲恚繻ワ)の作品を展示します。といっても仏像ではなく、仏師の余
技ともいうべき風俗人形の類が中心です。初代隆慶自身は、これらを「老
いらくのてんごう(老人のいたずら)」と称しました。仏像造りに使う技
能を世俗的なものに使ってしまった、という照れからでしょうか。しか
し、さまざまな造形上の約束事がある仏像にくらべると、これら人形類
は、自由な発想でのびのびと製作され、巧みな彫技が遺憾なく発揮され
ています。江戸時代の京仏師のてんごうぶりを、じっくりとご覧ください。


主な展示作品

百人一衆
画像は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/img/ryukei/r2.jpg
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/img/ryukei/r1.jpg

[江戸時代]
初代清水隆慶位牌
二代清水隆慶位牌
関羽立像
竹翁坐像
維摩居士坐像
大黒天立像
髑髏
富士見西行像
千利休立像
展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/ryukei/ryukei.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/ctokutin-oi.html


[特集陳列:開催中] 雛まつりとお人形
平成20年2月23日(土)縲・月30日(日)
平常展示館17室

厳しい寒さを乗り越えると、春の訪れとともに、本年もまた雛まつりの
時節がめぐってきます。緋毛氈のうえに仲良く座るお内裏さまとお雛さ
ま。官女たちを筆頭に行儀良くならぶお人形や、小さな雛のお道具。雛
まつりは、身についたケガレを人形に移して祓う行事が起源とされます
が、現代の私たちにとっては、寒さに凍えた心を暖かな春へと解き放つ、
そんな心浮き立つ行事ではないでしょうか。
京都は、嵯峨人形・衣裳人形・御所人形・賀茂人形・雛人形と、さまざ
まな種類の人形を生み出した人形文化の中心地です。京都国立博物館の
「雛まつりとお人形」展では、このようなお人形と雛飾りの変遷がご覧
いただけます。
また本年も、京都の地で人形を保存・公開している、京都文化博物館・
博物館さがの人形の家・宝鏡寺門跡とともに、「京の雛めぐり」と題し、
協力して展覧会の紹介を行います。
近年は大揃えの雛段を飾ることも珍しくなりました。ご家族づれで展示
をめぐり、童心にかえって人形の世界をお楽しみください。

展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/hina2008/hina2008.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/ctokutin-hi2008.html



[チェンバロミニコンサート]
実際にヨーロッパ陶磁が使われていた空間を体感していただくために
ディスプレイされた特別展示館中央ホールにて、「憧れのヨーロッパ陶
磁」展に展示されている作品たちが作られた時代に、奏でられていたで
あろう音楽をお届けします。演奏は中野振一郎門下筆頭の演奏家・吉田
朋代さんです。
毎週金曜日の朝、優雅なひとときをお過ごしください。
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会期/3月7日 午前10時より20分程度
出演者/吉田朋代
入場料/特別展覧会「憧れのヨーロッパ陶磁」の観覧料が必要になりま
す。
会場/特別展示館 中央ホール
イベント詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/080105/gaiyou/event.html
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[京都・らくご博物館]
京都国立博物館では、多くの皆様に親しまれる博物館づくりの一環とし
て、我が国の伝統芸能である落語を「京都・らくご博物館」と題して春
夏秋冬の年4回、開催時の季節に応じた演目で上演しています。
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平成20年4月25日(金) 18:00開場 18:30開演
テーマ/京都・らくご博物館[春]若草の会vol,17 
出演者/桂雀太  林家染左  桂雀松 桂枝三郎 桂小米  
演目/当日のお楽しみ!
入場料/座席指定(平常展観覧券付)    3,000円
立見席(椅子なし/平常展観覧券付)1,500円
新緑の眩しい季節になり、まもなく楽しいゴールデンウィークがやって
きます。たのしいらくごで助走をつけましょう。
イベント詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/kouza/rakugo/rkg_spring6.html
●チケットのお求め方法
1. ご来館の方への窓口販売 
販売場所:京都国立博物館 南門観覧券売場(七条通側)
販売時間:開館日の閉館30分前まで。
ただし、第2、第4土曜日は無料観覧日のため販売いたしません。
2. 電話:075-531-7504(京都国立博物館 総務課事業推進係)
 (受付時間は月曜日から金曜日の10:00縲・7:00。祝日は除く)
3.WEBからの申込み
申込は→https://www7.kyohaku.go.jp/KNM/servlet/Main
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[土曜講座]
毎週土曜日の午後1時30分から、当館講堂において、当館研究員が展
覧会や展示品に関連した講座を行っています。
参加費は無料。定員は176名です。
テーマによっては外部講師をお招きしています。
なお、特別展覧会開催中および特別展覧会開催中以外の毎月第2・4土
曜日開催の講座に関しては、講座当日の12時45分から渡り廊下にて入
場整理券を発行します。整理券がなくなり次第、受付を終了いたします
ので、あしからずご了承願います。
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平成20年3月8日
テーマ/あこがれの東洋漆器
―マイセン焼を作らせた王さまの漆器コレクション―
講師/研究員 永島 明子
*整理券発行
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平成20年3月15日
テーマ/金戒光明寺の文殊菩薩騎獅像
講師/主任研究員  淺湫 毅
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平成20年3月22日
テーマ/百済観音と救世観音が表現する彼岸世界
講師/文化財管理監 中村 康
*整理券発行
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平成20年3月29日
テーマ/仏を映す鏡―南都寺院の鏡と華厳経―
講師/工芸室長 久保 智康
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講座詳細は→http://www.kyohaku.go.jp/jp/kouza/kouza.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/doyou.html


[第13回ミュージアムロード:知ったはる? もっと京都!]
いろいろな博物館・美術館で楽しみながら、「京都のこと」を学んでみ
ませんか?
 京都市の主催するミュージアムロードに、当館の特集陳列「雛まつり
とお人形」が京の文化への道という企画で参加しています。当館のみな
らず、参加館に足をお運びいただき、幅広い分野で「京都」を見て、知
って、体験してみませんか。
各会場に設置されているスタンプを集めれば、素敵なプレゼントに応募できます。詳しくは会期中、各会場に設置のスタンプラリー用紙をご覧下さい。
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会期/平成20年2月9日(土)縲・月16日(日)
*各会場により、期間が異なります。
詳細は→http://www.city.kyoto.lg.jp/kyoiku/
(京都市教育委員会)
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[やすらぎと潤い 京もの暮らし縲恣`統産業の日2008]
京都市では、多くの市民や観光客の皆様に、1200年の悠久の歴史の中
で培われてきた京都の伝統産業に、触れ親しんでいただくため、本年度
も「伝統産業の日(春分の日)」を中心に、多彩な事業を展開されます。
 当館も「きものおでかけ・入場無料」の企画に参加し、きもの着用者
の方には下記の期間、無料でご入館いただけます。
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会期/平成20年3月14日(金)縲・月23日(日)
内容/きもの着用者に限り、当館への入館が無料
詳細は→
http://www.city.kyoto.jp/sankan/densan/densannohi/index.html
(伝統産業の日実行委員会)
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[博物館Dictionary] No.157 
あなたに語る・時代を超えて生きる心

<重要文化財 牡丹図 高桐院蔵>
画像1(重要文化財 牡丹図 高桐院蔵)は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/mmd/mmd157-1.html
画像2(重要文化財 牡丹図 高桐院蔵)は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/mmd/mmd157-2.html

赤(あか)、紫(むらさき)、ピンク、白(しろ)と、色(いろ)とりどり
で、かたちもさまざまに異(こと)なる牡丹(ぼたん)の花(はな)が
咲(さ)き誇(ほこ)っています。その根元(ねもと)では、雀(すず
め)が仲間(なかま)どうしじゃれあい、ツグミが虫(むし)を探(さ
が)して歩(ある)きまわっています。
大(おお)きくあでやかな牡丹の花は、中国(ちゅうごく)では富貴(ふ
うき とみと高<たか>いくらい)を象徴(しょうちょう)する花として
古(ふる)くから愛好(あいこう)されてきました。「花王(かおう)」、
花の王さまとよばれ、香(かお)りたかいことから「天香(てんこう)」(天
から降<おり>てくるかおり)、色の美(うつく)しさから「国色(こくし
ょく)」(国中<くにじゅう>で一番<いちばん>の美人<びじん>)と
もよばれます。
その観賞(かんしょう)がもっとも盛(さか)んであった唐(とう)のなか
ごろ、八世紀(せいき)、都(みやこ)の長安(ちょうあん)(今<いま>
の陝西西安<せんせいせいあん>)では、毎年(まいとし)、春(はる)
も終(お)わりに近(ちか)いころ、咲き誇る牡丹の花を見(み)ようと、
慈恩寺(じおんじ)をはじめとするまちなかの名所(めいしょ)におおぜ
いのひとびとがおしよせました。
また家々(いえいえ)では、庭(にわ)に牡丹を植(う)えて豪華(ごうか)
さを競(きそ)い、珍(めずら)しい株(かぶ)はたいへんな高値(たかね)
で売(う)り買(か)いされました。
八世紀後半(こうはん)の画家(がか)で、花鳥画(かちょうが)の大家
(たいか)として知(し)られた辺鸞(へんらん)は、牡丹の下(した)で人
(ひと)や動物(どうぶつ)の大小(だいしょう)六七(ろくしち)があいた
わむれるようすをたくみに描(えが)いて、世間(せけん)の評判(ひょう
ばん)になったといいます。
いま、その絵(え)は残(のこ)っていませんが、近年(きんねん)、中国
の河北省(かほくしょう)で発掘(はっくつ)された、十世紀前半(ぜん
はん)の王処直(おうしょちょく)というひとの墓(はか)から、半円形
(はんえんけい)に枝(えだ)を張(は)って、たくさんの花を咲かせ
る牡丹を中央(ちゅうおう)に、根元に穴(あな)のあいた太湖石(たいこせ
き)をそえ、周囲(しゅうい)をハトなどの鳥(とり)に蝶(ちょう)・ミツバ
チ・バッタなどの虫たちが動(うご)きまわるようすを描いた壁画(へき
が)(挿図)が発見(はっけん)されました。辺鸞が描き出した牡丹も、あ
るいはこの絵に近いものであったかもしれません。

画像3(挿図 王処直墓 牡丹図壁画)は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/mmd/mmd157-3.html

京都(きょうと)の高桐院(こうとういん)に伝(つた)わるこの牡丹図
(ず)は、元(げん)時代(じだい)、十四世紀の作(さく)と思(おも)わ
れますが、誰(だれ)が描いたかはわかりません。牡丹の花や葉(は)、
鳥たちには厚(あつ)く色絵(いろえ)の具(ぐ)が塗(ぬ)られ、他方(た
ほう)、牡丹の枝や、地面(じめん)のうねは墨絵(すみえ)で描かれてい
ます。作者(さくしゃ)が着色画(ちゃくしょくが)と水墨画(すいぼく
が)の両方(りょうほう)を得意(とくい)としていたことがわかります。
さらに、からみあって地面に落(お)ちる雀たちのたくみな描きぶりは、
動きまわる鳥の一瞬(いっしゅん)のすがたをとらえる花鳥画家としての
すぐれた才能(さいのう)と技量(ぎりょう)を感(かん)じさせます。
この絵のように、花木全体(かぼくぜんたい)を地面に植わった状態(じょ
うたい)で描くものを全株(ぜんしゅ)といい、折(お)り取(と)った花
の枝を描く切枝花(せっしか)と区別(くべつ)します。元(げん)よりひ
と時代前(まえ)の、南宋(なんそう)時代には、小(ちい)さな画面(がめん)
に描かれた切枝花が、画院(がいん)とよばれる宮中(きゅうちゅう)の絵
所(えどころ)ではやりますが、元時代に入ると、それよりも前の時代の
北宋(ほくそう)や、さらにさかのぼって唐の時代の画風を学(なな)びな
おそうという気運(きうん)がおこってきます。
まるで競いあって天にのぼる二匹(にひき)の龍(りゅう)のように、S字
状(じじょう)にうねりながら、勢(いきお)いよく伸(の)びあがる全株
の牡丹を二枚(まい)の絹地大幅(きぬじたいふく)に描くこの絵には、南
宋画院の絵、院体画(いんたいが)を飛(と))び越(こ)えて、北宋・
唐に復帰(ふっき)しようとする元代花鳥画の特色(とくしょく)がよく出
(で)ています。    
(美術室 西上 実)


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